路肩と車道外側線:法律を見てみる

 

 道路構造令第2条12や車両制限令第2条7で「路肩」は「道路の主要構造部を保護し、又は車道の効用を保つために、車道、歩道、自転車道又は自転車歩行者道に接続して設けられる帯状の道路の部分をいう。」と定義されています。
 路肩は次の4つに分類されます。「全路肩」は幅が2.50~3.25mあり、すべての車両の一時駐車が可能です。「半路肩」は幅が1.25~1.75m、乗用車は一時駐車可能で、交通容量に大きな影響を与えない側方余裕幅を確保します。「狭路肩」は幅が0.50~0.75mで走行上必要な最小限度の側方余裕を確保します。「保護路肩」は防護柵、道路標識等を路端に設けるためのスペースであり、また歩道、自転車道または自転車歩行者道を設ける場含にそれらを保護するための部分です。保護路肩は道路(歩道、自転車道または自転車歩行者道)の外側に作られます。
 
道路構造令の第8条で「車道に接続して、路肩を設けるものとする。」と書かれ、さらにどのように路肩を設置するかが書かれています。結構、ややこしい(暗号のよう)で難しければ(A)まで読み飛ばしていただいても結構です。


道路構造令第8条 道路には、車道に接続して、路肩を設けるものとする。ただし、中央帯又は停車帯を設ける場合においては、この限りでない。
 車道の左側に設ける路肩の幅員は、道路の区分に応じ、次の表の車道の左側に設ける路肩の幅員の欄の上欄に掲げる値以上とするものとする。ただし、付加追越車線、登坂車線若しくは変速車線を設ける箇所、長さ50メートル以上の橋若しくは高架の道路又は地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない箇所については、同表の車道の左側に設ける路肩の幅員の欄の下欄に掲げる値まで縮小することができる。
区分 車道の左側に設ける路肩の幅員(単位 メートル)
第1種 第1級及び第2級 普通道路 2.5 1.75
小型道路 1.25  
第3級及び第4級 普通道路 1.75 1.25
小型道路  
第2種 普通道路 1.25  
小型道路  
第3種 第1級 普通道路 1.25 0.75
小型道路 0.75  
第2級から第4級まで 普通道路 0.75 0.5
小型道路 0.5  
第5級 0.5  
第4種 0.5  
 
 前項の規定にかかわらず、車線を往復の方向別に分離する第1種の道路であつて同方向の車線の数が1であるものの当該車線の属する車道の左側に設ける路肩の幅員は、道路の区分に応じ、次の表の車道の左側に設ける路肩の幅員の欄の上欄に掲げる値以上とするものとする。ただし、普通道路のうち、長さ100メートル以上のトンネル、長さ50メートル以上の橋若しくは高架の道路又は地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない箇所であつて、大型の自動車の交通量が少ないものについては、同表の車道の左側に設ける路肩の幅員の欄の下欄に掲げる値まで縮小することができる。
区分 車道の左側に設ける路肩の幅員(単位 メートル)
第2級及び第3級 普通道路 2.5 1.75
小型道路 1.25  
第4級 普通道路 2.5
小型道路 1.25  
 
 車道の右側に設ける路肩の幅員は、道路の区分に応じ、次の表の車道の右側に設ける路肩の幅員の欄に掲げる値以上とするものとする。
区分 車道の右側に設ける路肩の幅員(単位 メートル)
第1種 第1級及び第2級 普通道路 1.25
小型道路 0.75
第3級及び第4級 普通道路 0.75
小型道路 0.5
第2種 普通道路 0.75
小型道路 0.5
第3種 0.5
第4種 0.5
 
 普通道路のトンネルの車道に接続する路肩(第3項本文に規定する路肩を除く。)又は小型道路のトンネルの車道の左側に設ける路肩(同項本文に規定する路肩を除く。)の幅員は、第1種第1級又は第2級の道路にあつては1メートルまで、第1種第3級又は第4級の道路にあつては0.75メートルまで、第3種(第5級を除く。)の普通道路又は第3種第1級の小型道路にあつては0.5メートルまで縮小することができる。
 
 副道に接続する路肩については、第2項の表第3種の項車道の左側に設ける路肩の幅員の欄の上欄中「1.25」とあり、及び「0.75」とあるのは、「0.5」とし、第2項ただし書の規定は適用しない。
 歩道、自転車道又は自転車歩行者道を設ける道路にあつては、道路の主要構造部を保護し、又は車道の効用を保つために支障がない場合においては、車道に接続する路肩を設けず、又はその幅員を縮小することができる。
 第1種又は第2種の道路の車道に接続する路肩には、側帯を設けるものとする。
 前項の側帯の幅員は、道路の区分に応じ、普通道路にあつては次の表の路肩に設ける側帯の幅員の欄の上欄に掲げる値と、小型道路にあつては0.25メートルとする。ただし、普通道路のトンネルの車道に接続する路肩に設ける側帯の幅員は、同表の路肩に設ける側帯の幅員の欄の下欄に掲げる値とすることができる。
区分 路肩に設ける側帯の幅員
(単位 メートル)
第1種 第1級 0.75 0.5
第2級
第3級 0.5 0.25
第4級
第2種 第1級 0.5  
第2級
 
10 道路の主要構造部を保護するため必要がある場合においては、歩道、自転車道又は自転車歩行者道に接続して、路端寄りに路肩を設けるものとする。
11 車道に接続する路肩に路上施設を設ける場合においては、当該路肩の幅員については、第2項の表の車道の左側に設ける路肩の幅員の欄又は第4項の表の車道の右側に設ける路肩の幅員の欄に掲げる値に当該路上施設を設けるのに必要な値を加えてこれらの規定を適用するものとする。


(A) 以上を簡単にまとめると、原則として一般道では最低0.5m以上、道路によっては0.75m以上や1.25m以上の路肩を設けることになっています。高速や自動車道ではこれは最低でも1m、大きな道路では2.5m以上の路肩を設けることとなっています。また第8条7では「歩道、自転車道又は自転車歩行者道を設ける道路にあつては、道路の主要構造部を保護し、又は車道の効用を保つために支障がない場合においては、車道に接続する路肩を設けず、又はその幅員を縮小することができる。」となっています。歩道のある道路を思い出してみてください。そのような道路の歩道のそばには車道外側線が引かれています。この車道外側線は車道と路肩の境を表わす線であり、この線と歩道との間の帯状の部分がまさしく路肩で、これも場合によって縮小されていることが理解できます。また第8条10によれば「道路の主要構造部を保護するため必要がある場合においては、歩道、自転車道又は自転車歩行者道に接続して、路端寄りに路肩を設けるものとする。」とあります。これはまさしく保護路肩のことを示しています。
 
  一方、道幅などの問題で車道と路肩を区別できない道があります。このような歩道のない道路においても路肩は定義されています。ここではわかりやすくするために「見なし路肩」と呼ぶことにしましょう。「見なし路肩」は車両制限令九条のなかで「路肩(路肩が明らかでない道路にあつては、路端から車道寄りの〇・五メートル(トンネル、橋又は高架の道路にあつては、〇・二五メートル)の幅の道路の部分)」と表記されています。従来はこの「見なし路肩」の定義を路肩の定義と思っている方が多く、「見なし路肩」以外の路肩がないという誤った情報があふれていました。しかし実際は「見なし路肩」はあくまでも特別な場合の路肩なのです。
 
参考URL:
http://www.road.or.jp/event/pdf/07_kouzou22.pdf 
 (日本道路協会 資料38ページ目)
http://blog.livedoor.jp/kadooka0222/archives/51119280.html
 
 
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